カンボジアが誇る世界遺産「アンコール遺跡群」の中でも、特に見逃せない三大遺跡——アンコールワット、アンコールトム、そしてタ・プローム。それぞれの遺跡には、クメール王朝の栄華と信仰、そして時代を超えた物語が刻まれています。
1. アンコールワット 〜神への祈りが形になった建築の傑作〜
12世紀、スールヤヴァルマン2世によって建立されたアンコールワットは、ヒンドゥー教の神ヴィシュヌに捧げられた巨大寺院です。その建築技術の高さ、繊細な彫刻、そして完璧な左右対称の構造は、クメール王朝の黄金時代の象徴とも言えます。
のちに仏教寺院へと転用され、現在も信仰の場として人々に大切にされています。
2. アンコールトム(バイヨン寺院)〜微笑みの王が築いた都〜
ジャヤーヴァルマン7世が築いた巨大な都アンコールトム。その中心にそびえるバイヨン寺院には、観る者を魅了する四面仏の石像が数多く残されています。この穏やかに微笑む表情は「クメールの微笑み」として知られ、当時の王が理想とした慈悲と平和を象徴しています。都全体は仏教都市として設計され、王の力と信仰の深さを感じさせる壮大な遺構です。
3. タ・プローム 〜自然と遺跡が織りなす幻想世界〜
同じくジャヤーヴァルマン7世が母親のために建立した仏教寺院。現在では巨大な樹木に覆われ、まるでジャングルに飲み込まれたかのような神秘的な姿を残しています。その幻想的な雰囲気は訪れる人々を魅了し、映画「トゥームレイダー」の舞台にもなりました。自然と人間の歴史が共存する、唯一無二の空間です。